地球の窓 2013 5 5

書名 美しい鉱物 レアメタルから宝石まで鉱物の基本がわかる
監修 松原 聰  学研教育出版

 H、He、Li、Be、B、C、N、O、F、Ne・・・・・。
こんな教え方をしていては、99%の人が化学を嫌いになる。
 まず、美しい鉱物を見せてから、
「この鉱物は、なにで、できているのか。
それを表すものが、元素記号だ」と教えた方がよいでしょう。
 問題は、鉱物図鑑というものは、高額なものが多い。
 しかし、この本は、600円で、お釣りが来る安さです。
にもかかわらず、本を開けば、美しい写真が続きます。
 高価な図鑑では、家の外に持ち出すのも、気が引けるでしょうが、
この本ならば、学生でも、リュックサックに入れて、
気楽に持ち歩けるでしょう。
そして、いつの日にか、化学や地学が好きになっているでしょう。
 さて、日本の埼玉県の長瀞町(ながとろまち)は、
「長瀞ライン下り」(船で渓流を下る)で知られるでしょう。
花が好きな人は、岩畳に咲く藤(イワフジ)でしょうか。
 しかし、長瀞は、日本の地質学の「発祥の地」です。
明治10年、東京大学に地質学科が設立されて以来、
この地域は、日本の地質学上の重要な研究拠点となり、
数多くの地質学者を育てたのです。
 長瀞を含む秩父地域で産出される鉱物は、
種類の多さでは、日本でも有数と聞いたことがあります。
 さらに、この地域(秩父市)では、自然金の一種である、
糸状の自然金の「糸金」も発見されたというのです。
 ちょっと驚きですね。
そもそも、天然で、金を目視できるほどの「高品位の金鉱石」は、
「めったにない」と聞いたことがあります。
かつて、秩父地域では、金鉱山がありました。
ここまで読めば、この文章のタイトルを「地球の窓」とした理由がわかると思います。
 さて、少し専門的になってしまったので、話題を変えましょう。
知人によれば、「ライン下り」で知られる長瀞町も、
今では、カヌー教室やラフティングが盛んであると言います。
また、5月上旬でも、鶯(ウグイス)の鳴き声を聞くことができるというのです。
バードウォッチングが好きな人には、楽しみな地域かもしれません。
 ところで、中国の温家宝前首相は、
中国地質大学の出身と聞いたことがあります。
日本訪問の際に、長瀞町を訪問すれば、
日中友好の一助になったかもしれません。
(参考)
 日本列島は、火山列島なので、
至る所に金鉱があり、山金も砂金も産出され、
正にマルコ・ポーロが言った「黄金の国」ですが、
事業としては、あまり成り立ちません。
 それは、金鉱での重労働を考えれば、
「金の価格は、人件費そのもの」と言われ、
日本では、その人件費が高いからです。
 その上、強力な通貨(円高)で、
外国から金を輸入にした方が安いのです。
そういうわけで、日本国内では、事業としては難しいのです。
 今は、1ドル100円ぐらいですが、昔は、1ドル360円でした。
つまり、1ドル紙幣を買うのに、昔は360円もかかりましたが、
今では、100円で買うことができるのです。
金の国際価格は、ドル表示です。

ジパング Zipangu 2008 2 11
 本日は、日本の建国記念日ですので、
日本に関して、興味深い話題を書きましょう。
 マルコ・ポーロは、『東方見聞録』で、日本のことを、
「黄金の国・ジパング」と書きました。
 確かに、現代でも、日本は、黄金の国でしょう。
『貴金属の科学』(日刊工業新聞社)という本には、こう書いてあります。
(以下、引用)
黄金の国、再び 期待大きい菱刈金鉱床
 1981年2月、熊本県と鹿児島県の県境にある菱刈で、
予想もしない金の大鉱床が発見されました。
 この発見は、日本の詳細な地球科学の研究によって探査されたもので、
まさに技術立国・日本の面目躍如たるものでもあったのです。
 その金鉱床は、埋蔵鉱に含まれる金の量が、とてつもなく多く、
かつ、その鉱石品位も他に類を見ないほど高いものでした。
 (世界最大の産金国である)南アフリカの金鉱山は、
1トンに金約5.2グラム程度とされていましたが、
菱刈のものは、1トンに約80グラムと、途方もないものだったのです。
 九州では、菱刈のほかに、大分県の「鯛生(たいお)」もまた、
期待される金山です。
(引用、以上)
 日本は、昔から、全国各地に金鉱の話が伝わっています。
また、同様に砂金も、かつては全国各地の河川から採れたと言われています。
 どうして、日本は、これほど金が採れるのか。
その理由は、以下の本を読めば、楽しく、わかるでしょう。
「たのしい鉱物と宝石の博学事典」(堀 秀道 編著  日本実業出版社)
(以下、引用)
恐山の下には金が
 黄金の国、ジパング。
なぜ、日本では金が採れるのだろうか。
 ヒントは、日本が火山列島であることに隠されていそうだ。
火山活動と金とは、密接な関係があるらしい。
 その例としては、青森県の恐山。
熱水とガスが絶え間なく吹き出す休火山である。
その下のほうには、金があるらしい。
しかも、十分金山として稼動できるほど大量に。
日本の金の産状は、火山活動による熱水鉱床。
 最大の産出国は、南アフリカ共和国。
ロシア、カナダ、アメリカが、それに続く。
 砂金は、アラスカ、オーストラリア。
 日本では、山金と砂金の両方が産出する。
(引用、以上)



















































































スマートフォンのトップページへ